<告訴状作成・告発状作成> |
一 |
告訴・告発とは |
1 |
告訴とは、犯罪の被害者その他一定の者(告訴権者)が、捜査機関に対して、ある特定の犯罪が行われた事実、あるいは行われている事実を申告し、その犯人の処罰を求める意思表示です。 |
2 |
告発とは、告訴権者と犯人を除く第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示です。 |
二 |
告訴権者・告発権者 |
1 |
告訴権者 |
@ |
被害者(刑事訴訟法230条)・被害者の法定代理人(刑事訴訟法231条1項) |
A |
被害者が死亡した場合は、被害者の配偶者・直系親族・兄弟姉妹(刑事訴訟法231条2項本文) |
2 |
告発権者 |
@ |
何人でも、犯罪があると思料するときは、告発することができます(刑事訴訟法239条1項) |
A |
官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければなりません
(刑事訴訟法239条2項) |
三 |
告訴期間 |
1 |
親告罪の告訴は、犯人を知った日から6ヶ月を経過したときは、原則としてすることができません
(刑事訴訟法235条1項本文)。 |
2 |
ただし、@強制わいせつ罪(刑法176条)・強姦罪(刑法177条)・準強姦罪(刑法178条)・営利目的等略取及び誘拐罪(刑法225条)・被略取者収受罪等(刑法227条1項・225条を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る)・227条3項又はこれらの罪の未遂罪について行う告訴、A刑法232条2項により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する刑法230条又は刑法231条の罪につきその使節が行う告訴についてはそのようなことはありません(刑事訴訟法235条1項但書)。 |
3 |
「犯人を知った」とは、犯人が誰かを知ることをいい、犯人の住所・氏名等の詳細を知る必要はないが、少なくとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを必要とします(最決昭39.11.10刑集18.9.547)。 |
4 |
「犯人を知った日」とは、犯罪行為終了後の日を指し、告訴権者が犯罪の継続中に犯人を知ったとしても、その日を親告罪の告訴期間の起算日とすることはできません(最決昭45.12.17刑集24.13.1765)
。 |
5 |
告訴をすることができる者が数人ある場合は、一人の期間の徒過は他の者に対して影響を及ぼしません
(刑事訴訟法236条)。 |
四 |
告訴の代理 |
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告訴は、代理人によりこれをすることができます。告訴の取消についても、同様です(刑事訴訟法240条)。 |
五 |
刑法上の親告罪 |
1 |
信書開封罪(刑法133条)・秘密漏示罪(刑法134条) |
2 |
強制猥褻罪(刑法176条)・強姦罪(刑法177条)・準強制猥褻・準強姦罪(刑法178条)上記各罪の未遂罪(刑法179条)但し、これらの罪を2人以上が現場で共同して犯した場合は非親告罪となります。 |
3 |
過失傷害罪(刑法209条) |
4 |
未成年者略取及び誘拐罪(刑法224条1項)・営利目的等略取及び誘拐罪(刑法225条1項)・被略取者収受等罪(刑法227条1項・3項)各罪の未遂罪(刑法228条)但し、これらの罪を営利目的から犯した場合は非親告罪となります(刑法229条) |
5 |
名誉毀損罪(刑法230条)・侮辱罪(刑法231条) |
6 |
親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪(刑法235条・刑法235条の2)各罪の未遂罪(刑法243条) |
7 |
親族間の詐欺罪・恐喝罪・背任罪(刑法246条・刑法248条・刑法249条・刑法247条)各罪の未遂罪(刑法250条) |
8 |
親族間の横領罪(刑法252条・刑法253条・刑法254条) |
9 |
私用文書毀棄罪(刑法259条)・器物損壊罪(刑法261条)・信書隠匿罪(刑法263条) |