<特定非営利活動法人・消費税・源泉所得税の取扱いについて> |
一 |
法人税 |
1 |
株式会社や有限会社のように営利を目的として設立された法人は各事業年度のすべての所得に対して法人税が課税されますが、特定非営利活動法人については、法人税法に規定する収益事業を営む場合に、その収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課税されます。このため、収益事業に係る収支、資産及び負債と収益事業以外の事業に係る収支、資産及び負債とを区分して経理し、収益事業に係わる所得金額を計算する必要があります。 |
2 |
法人税法に規定する収益事業を営む特定非営利活動法人は、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に所轄の税務署長に対して所得金額や法人税の額等を記載した確定申告書を提出するとともに、その法人税の額を納付することになります。この場合の法人税の額は、各事業年度の収益事業に係わる所得金額に次の税率を乗じて計算した金額です。 |
年間所得800万円以下 |
22.0% |
年間所得800万円超 |
30.0% |
3 |
確定申告書の提出に当たっては、賃借対照表や損益計算書等を添付する必要があります。なお、添付する賃借対照表等は、収益事業に係わるものにとどまらず、収益事業以外の事業に係わるこれらの書類も添付する必要があります。 |
4 |
特定非営利活動法人は、法人税法に規定する収益事業を営まない場合であっても、年間の収益金額(資産の売却による収入で臨時的なものを除きます。)が8,000万円を超えるときには、収益計算書を事業年度終了の日の翌日から4ヶ月以内に所轄の税務署長に提出することとされています。 |
二 |
消費税及び地方消費税 |
1 |
国内において課税資産の譲渡等や課税貨物を保税地域から引き取る者(輸入者)が消費税の納税義務者となります。ただし、課税資産の譲渡等を行う事業者の基準期間(前々事業年度)における課税売上高が3,000万円以下の場合には、課税事業者となることを選択した場合を除き、その課税期間は納税義務が免除されます。 |
2 |
特定非営利活動法人は、各事業年度終了の日の2ヶ月以内に所轄の税務署長に対して所定の事項を記載した消費税及び地方消費税の確定申告書を提出するとともに、その消費税及び地方消費税の合計額を納付することになります。 |
この場合の消費税及び地方消費税の納付税額は、次によって計算した金額です。 |
消費税の納付税額 |
= |
課税期間中の課税売上にかかわる消費税額 |
− |
課税期間中の課税仕入れ等にかかわる消費税額(※) |
※特定非営利活動法人に寄付金などの資産の譲渡等の対価以外の収入で一定の要件に該当するもの(特定収入)がある場合(僅少な場合を除きます。)には、通常の計算による課税仕入れ等に係わる消費税額から、特定収入で賄っている課税仕入れ等に係わる消費税額に相当する金額を控除した残額が仕入税額控除の対象となります。 |
地方消費税の納付税額 |
= |
消費税の納付金額 |
× |
25% |
三 |
源泉所得税 |
1 |
源泉徴収制度は、給与や報酬・料金などの源泉徴収の対象とされている所得を支払う者が、その支払の際に一定の所得税を徴収して国に納付する制度です。源泉徴収の対象とされている所得の支払者は会社や官公庁はもちろん個人や人格のない社団、財団その他公益法人であっても源泉徴収義務者になります。 特定非営利活動法人も、その役員やスタッフに給与を支払う場合、あるいは税理士等の報酬・料金、講演料等を支払う場合には、源泉徴収義務者として、その支払いの際に、所定の所得税を源泉徴収して納付する必要があります。 |
2 |
源泉徴収した所得税は、原則として給与などを支払った月の翌日10日までに「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、最寄りの銀行や郵便局で納付することになります。 |
3 |
給与の支払人員が常時10人未満である場合には、税務署長の承認を受けることにより、給与など一定のものについて年2回にまとめて納付することができる「納期の特例制度」が設けられています。 |